ナカシンイチ展

ナカシンイチ展

2011年頃からいったん画面を真っ黒にして色を重ねる方法を採った。発色が悪いのは承知の上で、決してネガティヴな気分でもなく、スーッと向こう側まで続く静寂空間を表現したいという目論見だった。黒いシリーズを重ねるごとに少しずつ意識の編集を経て技法を整えた。2016年、それまでほとんど採用したことのなかった正方形のキャンバスに取り組み始める。S:スクエアの持つ高い象徴性が私の制作意図に合致することを発見し、今やほぼすべて
の作品がスクエアになってしまった。(英語で横長=LANDSCAPE、縦長=PORTRAIT、それぞれに具体性を帯びている)
黒の上に幾重にも重ねた色と、私の直截的痕跡である白線の対比による新作は、記憶の強化と実相の損失をテーマとしている。最初の個展から30年を経て、ようやく得心のいくものになってきた

ナカシンイチ

 

Gallery EMでの9年ぶりの個展です。春近し、皆様のお越しを心よりお待ち申し上げます。

Gallery EM 西村江美子


<作家プロフィール>
1968年生まれ
佐賀大学特設美術科卒業
主に抽象絵画を制作
1993年以降、福岡、佐賀、長崎、大阪、東京などで個展開催
現在、久留米市在住